Glossary

延焼クラスターとは

1軒の火から街ごと消滅する、その境界線。

3行で分かる定義

1軒の出火 → クラスター全体へ

赤: 出火/オレンジ: 延焼範囲/グレー: 道路で遮断された別クラスター

なぜこの概念が重要か

火災対策を語るとき、多くの人は「我が家が燃えるか、燃えないか」という個別建物の視点で考えがちです。しかし震災時の火災は、その視点では捉えきれません。

あなたの家が完全に耐火性能を備えていても、隣の家・隣の隣の家が燃え、道路で遮断されるまで延焼が続けば、最終的には熱・煙・火の粉で周囲の建物全てが被害を受けます。火災は個別建物の問題ではなく、ブロック単位の運命共同体の問題なのです。

東京23区で言えば、世田谷区の想定焼失棟数 19,293 棟に対し、渋谷区はわずか 286 棟(約67倍差)。この差の正体は、実は「建物密度」そのものよりも「クラスターサイズの差」です。

クラスターサイズを決める4つの要素

1. 道幅(延焼遮断線)

概ね 6m 以上の道路は延焼を止める可能性が高い。逆に幅 4m 未満の路地ばかりのエリアでは、クラスターが連続して巨大化します。

2. 建物の耐火性能

耐火建築物(RC 造など)は壁を越えて火が移らない。木造が混在していると、1 軒からの延焼が次々に波及します。

3. 建物密度

隣家との距離が近いほど輻射熱で隣家が発火しやすい。軒先同士が触れるような密集地ではクラスターが切れ目なく続きます。

4. 風速(飛び火)

強風下では火の粉が数十メートル飛ぶ。本来なら道路で分断されるはずのクラスターが、風向き次第で「結合」してしまう現象です。

自分の街のクラスターを調べる

シミュレータの「表示レイヤー」で 「延焼クラスタ」 を選ぶと、周辺エリアがクラスターごとに色分けされます。自分の家が属するクラスターの大きさを確認してみてください。

シミュレータで調べる

対策との関係

個人でできること

クラスターサイズを変えるのは難しいが、クラスター内で出火件数を減らすことは個人でできます。

  • 感震ブレーカーで通電火災を防ぐ
  • 家具固定で転倒・ガラス破損を防ぐ
  • 住宅用火災警報器の設置

街/行政レベル

クラスターサイズそのものを縮小する施策は、長期的・行政的に進みます。

  • 木密地域の不燃化促進事業
  • 延焼遮断帯(主要道路の拡幅)の整備
  • 建築時の準耐火基準強化
→ 具体的な対策を見る

参考資料